登記モレ~本人申請時の注意事項~

相続登記等を専門家に依頼せずに本人申請で行う場合、注意が必要というお話です。
最も怖いケースの一つが不動産の相続「登記モレ」です。
この登記モレが発生すると、後々大きなトラブルになる可能性があります。

昨今、法務局では予約をすれば登記申請手続の方法を教えてくれるコーナーがあり、ご自身だけで登記申請を行う事も可能は可能です(時間と忍耐がある人向けではありますが・・・)。

しかし、法務局の職員はあくまでも提示された不動産についてのみの申請手続きを教えてくれ、漏れている登記についての調査等のノウハウを教えてくれることはありません(法務局の方が悪いというお話ではなく、あくまでも手続き案内のコーナーですので示された物件に対して手続きをお伝えするという場所になります)。

したがって、本人申請で登記申請を行う場合は、「登記すべき不動産にモレがないか」を自ら調査する必要がある点にくれぐれも注意しましょう。

登記モレとは?

登記モレとは、登記によって名義変更すべき不動産に漏れがある状態を指します。大抵、メインの不動産に附随する私道や附属建物が登記モレの物件です。漏れた物件についてメインの物件と同時期に相続登記を行わなかったことによって、その漏れた物件の所有権の移転が法律的に確定しないという状態になります。そのため、その後、メインの物件を第三者に売却したり抵当権を設定したりする際、問題が発生することがあります。

登記モレとなる物件の代表例

実は、不動産の登記簿謄本には登記申請すべき全ての不動産がくまなく明記されているわけではありません。
登記申請の登録免許税の計算に使用する「固定資産評価証明書」にも明記されない物件が存在する場合があります(全てのケースではありません)。登記すべき対象物件を把握するための登記簿謄本を取り寄せても物件が明記されていないのだから、相続登記の対象として認知できないわけです。
つまり、登記モレを発見するにはテクニックが必要となります。

登記モレ物件の代表例

  1. 未登記建物
  2. 私道
  3. 用水路
  4. 墓地
  5. マンションの附属建物(車庫、集会所、物置小屋、ポンプ室等)

登記モレが引き起こすリスク

相続登記を行わなかった場合、以下のようなリスクが考えられます。

遺産分割のトラブル

相続登記をしないまま時間が経過すると、相続人間での遺産分割が複雑になります。相続人が複数いる場合、誰がその不動産を所有しているのかが不明確になるため、遺産分割協議がスムーズに進まないことがあります。また、相続人が変わることで新たな法的手続きが必要となることがあり、余計な手間と時間がかかります。

売却や担保設定の際に問題

相続登記がされていない不動産を売却しようとする場合、買主はその不動産が相続人のものであるかどうかを確認できません。不動産取引は登記簿を元に行われるため、相続登記がされていないと、その不動産が相続人のものかどうかを証明できません。これにより、売却契約が成立しないリスクが生じます。

また、不動産を担保に融資を受ける場合も同様に、登記がされていないと銀行などの金融機関がその不動産に対して担保権を設定することができません。これにより、相続人がその不動産を活用できなくなり、生活に支障をきたすことがあるかもしれません。

相続人が死亡した場合

相続登記漏れが長期間続いている場合、相続人がさらに死亡した場合に問題が複雑化します。例えば、相続人Aが亡くなった不動産の相続登記をしていないままAが死亡した場合、その不動産の相続人はAの子供や配偶者になりますが、相続手続きがさらに煩雑になり、正確に名義を変更するために複数の相続人の協議が必要となります。

また、相続人が亡くなるたびに新たな相続人を特定し、登記を行うためには多くの時間と手間がかかります。その結果、登記漏れを放置していると、相続の登記は非常に複雑で時間がかかるものになり、場合によっては遺産分割協議をやり直さなければならなくなることもあります。

不動産の管理問題

相続登記をしていない不動産は、相続人が誰であるかが明確でないため、実際に不動産を管理する責任が誰にあるのかが不明確です。その結果、不動産の管理が不十分になり、荒れ果てたり、管理費用が発生したりすることがあります。また、固定資産税の支払いも遅れることがあり、これが原因で滞納によるトラブルを引き起こすこともあります。

登記モレを防ぐために

登記モレれを防ぐためには、以下のような対策が必要です。

名寄帳を確認する

市町村役場で名寄帳(市区町村が作成する固定資産台帳のことで、所有者ごとに土地や家屋の情報をまとめた一覧表)を取り寄せると、非課税物件が明記されている場合があります。固定資産評価証明書には明記されていない物件も名寄帳には明記されている場合があるため、名寄帳を取り寄せて確認することが有益です。
ただ、名寄帳の記載に不備があったため登記漏れが発生したという事件を過去に聞いた事があり名寄帳も完璧ではない場合があります。

権利証(登記済証・登記識別情報)を確認する

権利証(登記済証・登記識別情報)は登記が完了した後に法務局から所有者宛に提供される「所有者であることを証する書面」です。平成17年に「登記識別情報」に変更になりましたが、それ以前は「登記済証」という縦書きの書面でした。
権利証には、私道や附属建物を含めた所有している不動産のすべてが記載されており、対象不動産の確認に役立ちます。

登記簿謄本の共同担保目録を確認する

登記簿謄本を共同担保目録付きで取得すると、謄本の後ろの方に「共同担保目録」というコーナーがある場合があります。共同担保目録とは、住宅ローン等で抵当権等の設定をした場合に、一緒に担保設定した物件のリストです。共同担保がある場合は、そこで他の物件の存在を確認することができます。

公図を確認する

法務局で公図(土地の位置や形状を表す公的な地図)を確認する。土地の全面に道路がある場合、私道で、その所有権を持っている可能性があります。

結論

相続登記モレは、後々大きなトラブルを引き起こす可能性があり、慎重に対応する必要があります。相続が発生したら、できるだけ早く登記手続きを進めることが大切です。登記モレを防ぐためには、専門家のサポートを受けたり、相続の詳細をしっかりと確認したりすることをお勧めします。相続登記をきちんと行うことで、後のトラブルを避け、円滑に不動産を管理・活用できるようになります。

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