
自己破産の申立とは、借金が返済困難になった人が裁判所に申立書を提出し、支払不能と認められれば、借金の支払義務が免除され生活再建を図るための法的手続です。
自己破産申立における司法書士の関わり方
司法書士は自己破産申立の際、依頼者(債務者)が地方裁判所へ提出する申立書類の作成業務を担いますが、訴訟代理権を有しないため申立手続きを直接代理することはできません。
司法書士は破産申立書、債権者一覧表、財産目録、陳述書、家計収支表など、裁判所提出が必要な書類の作成をサポートします。本人申立て(債務者自身が裁判所へ申立を行う形式)において、専門知識を活かした正確な文書作成と、手続全般の法的アドバイスを提供し、バックアップ役として申立完了まで伴走します。
裁判所からの連絡先
司法書士は申立人の代理人ではありませんが、申立書の中で裁判所からの送達場所(書類の受取・連絡先)となることが可能です。自己破産申立書の「送達場所」欄に司法書士事務所名と住所を記載し、申立人と司法書士事務所が協議のうえ届出を行います。
このため、司法書士事務所は申立人の代理ではなく書類作成者・受取担当者として、裁判所からの連絡拠点となることができます。
自己破産申立には「管財事件」と「同時廃止」という2種類の処理方法があり、その違いは主に申立人(債務者)が有する財産や借入状況によって裁判所が判断します。
同時廃止は、破産管財人が選任されず、書類審査中心で、裁判所の手続開始決定と同時に破産手続が終了します。費用負担は1~5万円程度で済み、期間も3~4ヶ月と比較的短期間です。申立人の生活や手続への負担が少ないというメリットがあります。
一方、管財事件では、破産管財人(弁護士等)が選任される場合です。申立人に価値ある財産や免責不許可事由(Ex.ギャンブルによって債務が膨らんだ)の調査が必要な事情等がある場合、裁判所が破産管財人を選任します。管財人は財産調査・管理・処分し、債権者への分配や免責可否の調査を行うため、費用(予納金)はおおよそ20~50万円、期間は4カ月以上かかることが一般的です。財産や事由調査、郵便物転送等も発生し、申立人へ追加負担があります。どちらとなっても、免責決定を得れば債務は原則免除されますが、期間・費用・手間が大きく異なります。
官報公告
自己破産申立手続における官報公告は、基本的に「2回」行われます。
1回目 破産手続開始決定時
2回目 免責許可決定時
管財事件では破産手続終結時などに追加公告がされ、最大3回になる場合もありますが、同時廃止事件の場合はほとんどが2回となります。
費用
司法書士報酬 | 実費 | |
---|---|---|
自己破産の申立 (裁判書類作成業務) | 220,000円~ | 通信費、予納郵券、官報公告費用他 |
※債権者数、難易度に応じて加算があります
※※法テラス利用の場合は、法テラスの設定料金となります(法テラスHPを参照ください)
費用のお支払は、必要書類が整って裁判所への申立をするまでに約3カ月ほどかかりますので、その間に一括払い又は2~3回の分割払いでお支払いただくことになります。
手続の流れ
原則として面談でご事情をお伺いします。お手元にある関係書類をお持ちください。
必要な情報・ご要望ご提供いただきましたらお見積りを提供させていただきますのでご検討ください
ご依頼いただける場合は、次のステップへ進みます。
裁判書類作成業務にかかる委任を承ります。
既に判明している債権者へ、司法書士から「通知書」を送ります。債権者から借入れの取引履歴を取り寄せます。また、申立に必要な書類を連絡しますので、準備のうえご提供いただきます。必要書類が全て整うまでに2~3か月かかることが多いです。
既に通知が来ている借金以外に借金がないかの確認を行います。信用機関(全国銀行協会、CIC、JICC)へ調査依頼をします。
返済開始までに費用をお支払いただくことになります(分割払いも可能です)。
法テラスを利用する場合は、援助申込決定通知受領後、法テラスへ分割払いになります(免除要件に該当する場合は、免除申請を行います)。
司法書士が裁判所へ一式書類を提出します。裁判所からの連絡が来ましたら、随時連絡いたします。