登記申請を自分でするリスク|登記漏れ

登記申請は簡単であると思われがちです。単に必要書類を集めて、型にはまった申請書を作成すればいいと。

しかし、実は、司法書士が登記申請を行う場合、申請書を作成するにあたって、民法、不動産登記等所定の法律を調査したうえで、更に、依頼者から申告された物件以外にも一緒に申請をしないといけない物件があるのかどうかの調査を行います。

ご自身で登記申請した場合、漏れている物件に気付かず、判明している物件だけで登記申請してしまって登記が完了して「自分でできた」と誤った認識を持つリスクは非常に大きいです。

最大のリスク|登記漏れ

田畑、道路、公衆用道路、共有持分、所有名義の土地に隣接する土地など、実は、固定資産税納税通知書に記載されていない非課税物件という物件が存在します。登記申請に明るくない場合、そういう物件が存在することすら知らないため、物件の調査をそもそも実施しません。

不動産の登記情報が複雑に入り組んでいて、専門家でも見つけれない物件もあるほどです。昔々に発行された登記権利証を見ないと判明しない情報もあります。

後から判明した場合の大変さ

  • 数年後や数十年後に未登記物件が判明すると、新たな相続人が増えてしまい、全員の実印・同意が必要となり手続きが非常に困難になります。
  • 既に分割協議や登記が済んでいる物件と新たに発覚した物件で扱いが異なるため、相続人間のトラブルにも発展しやすいです。

登記漏れがあっても法務局に責任はない

法務局は「申請に必要な書類が整っていて、申請書が形式的に合っている場合、申請を受理して完了させる」だけです。

法務局が、対象物件に「実際には関連する物件が存在して、そっちも一緒に申請しないと将来的に問題が生じる」等といったアドバイスは行いません。なぜなら、法務局は申請された内容が形式的に適合している場合、受理することが業務であるからです。調査は法務局の業務ではありません。

自分で申請する場合、この調査も自分で行う必要がある点に注意が必要です。調査は、登記簿謄本や昔の権利証を見るだけでなく、公図を見なければならない場合もあります。

防止策・注意点

  • 専門家(司法書士)に依頼すると、まず、申告のあった物件以外にも一緒に申請しなければならない物件を調査した上で登記申請を行うため、物件の抜け落ちリスクを大幅に削減可能です。
  • 自分だけで手続きする場合は、必ず相続財産の有無を徹底的に調査し、法務局や行政の協力を得ても万全とは限りません。
  • 専門家に依頼する場合、司法書士と名称が似ている資格である行政書士には登記申請の権限はありませんので注意が必要です。

法務局 登記申請を御自身ですることを検討されている方からよくある質問